カラーグラフ 臨床家のための病理学・2
外陰部疾患・I
滝 一郎
1
1九州大学医学部産婦人科
pp.90-91
発行日 1972年2月10日
Published Date 1972/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204553
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外陰部疾患の分類法には,一般の婦人科疾患と同様に多くの方法がある。炎症とこれに類するもの,腫瘍とこれに類するもの,発生異常,他疾患との合併症の4つに分類する簡単な方法でも外陰部疾患を理解することができる。したがつて,外陰部は前号にも述べたように,皮膚一般と関連が深く,また尿道が含まれ,その疾患を充分把握しようと思えば,皮膚科,泌尿器科の領域にまで立ちいらざるを得ない。しかし適切な診断と治療を行なうためには皮膚科,泌尿器科と共観するのがよい。
病理組織学的な観点から外陰部疾患を理解するのにも多くの方法がある。発生異常(奇形を含む),化膿性疾患,肉芽腫様疾患,奇形性疾患,代謝性疾患,ウィールス性疾患,反復性潰瘍性疾患,デルマトージス,色素異常,毛髪異常,循環異常,外傷,進行性萎縮性硬化性疾患,嚢胞,腫瘍および類似病変,外尿道疾患,妊娠性変化,多原性疾患に分類するとほとんどすべての外陰部疾患を網羅することができる。この分類にしたがうと,皮膚科,泌尿器専門の分野が多く含まれ,かなり煩雑である。本シリーズでは紙数の制限もあるので,皮膚,泌尿器科でとりあつかう以外の,婦人科日常診療で最もありふれたものを取り扱うほうがよいのであるが,組織発生,病理組織学的類似性なども参考にして,稀なものも加え,順不同で外陰部疾患の肉眼的,組織学的所見について要点述べたいと思う。
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