今日の産婦人科
「6機関周産期児死亡統計」の問題点—昭和46年度日産婦学会臨床大会から
福島 穰
1
Minoru Fukushima
1
1慶応義塾大学産婦人科学教室
pp.359-363
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204596
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昭和46年度日産婦学会臨床大会に際し川上博会長のご英断によりシンポジウム「周産期児死亡をめぐる諸問題」が催された。地域的配慮から北海道大学,名古屋市立大学,国立京都病院,広島大学,久留米大学,慶応義塾大学の6機関が参加,清水助教授は帝王切開術の是非ならびにいわゆる「帝切症候群」について,八神助教授は各種の医原性児死亡について,杉山講師は低体重児(SFD児)について,堀講師は奇形児について,安部助教授は剖検例の吟味について,そして筆者は医学的判断の過誤による死亡例と経腟骨盤位分娩の成績に関する事項をそれぞれ担当して発表することになつた。この際従来のシンポジウムといささか趣きを異にし,これらの6機関が相互に情報交換を行ない「共同研究」に近い統計処理を行なつた点が注目された。すなわち6演者が一堂に会して約3時間の打合せ準備会を行ない,疑義の解消と共通の基盤作成を終了してから分担事項の調査に入つたのである。その結果,今回発表されたデータのほとんどが同一期間,同一施設における同一の産科統計集団から同一研究者が抽出したものであり,頻度その他の比較検討に関しては信頼度の向上がかなり期待されて良いと思う。各演者が機会に応じてそれぞれの分担事項に関する成績を発表されるはずなので,今回は司会者野嶽幸雄教授が冒頭に述べられた綜合成績を中心に補足説明を加えることにした。
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