連載講座 麻酔の実際
産科麻酔・4—異常産の管理
新井 正夫
1
Masao Arai
1
1北里大学医学部産婦人科学教室
pp.356-357
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204595
- 有料閲覧
- 文献概要
I.出 血
分娩前に大出血をきたす前置胎盤,常位胎盤早期剥離,周縁洞破裂などの分娩様式は,慎重に経過をみながら,いつでも帝王切開ができるdouble set-upの体制で人工破膜や陣痛強化剤投与により経腟遂娩法を行なう方針をとる。もちろん救急処置できるよう酸素吸入,静脈切開,輸液など万全を期する構えが必要である。脊麻,腰部硬膜外麻酔,仙骨麻酔などは血管拡張作用があるためcardiac returnが低下してショックを助長するので避ける。また超短時間作用バルビタール剤は末梢血管抵抗を低下させてさらに血圧下降を起こすので禁忌である。分娩第1期の前投薬は少量として分娩第2期には酸素吸入が十分できる笑気,ペントレン,フローセンを行ない陰部神経遮断麻を併用した浅麻酔が望ましい。またケタラールの浅麻酔も賞用される。
分娩直後の大出血に対する産科的操作を加える際の麻酔は輸液,酸素を十分投与しながら笑気と陰部神経遮断麻酔を適応とする。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.