特集 流早産の治療--最近の焦点
流早産のホルモン療法とその有効性
高木 繁夫
1
,
津端 捷夫
1
,
久保田 実良
1
,
栃木 秀麿
1
,
前田 勇
1
Shigeo Takagi
1
1日本大学医学部産科婦人科学教室
pp.17-23
発行日 1972年1月10日
Published Date 1972/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204543
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はじめに
元来流早産のホルモン療法は,妊娠初期流産にみる一部の着床不全の刺激療法を除くと,その多くは補充療法が主体をなすものと考えられている。このことは妊娠時黄体の剔除によつて流産する動物種属においては,これがprogesterone投与によつて防止されるとすることにある。またヒトの流早産例では,しばしば尿中,血中ホルモン量の低下をみることも少なくない。しかし臨床的には,この内分泌学的動態異常をそれの原因とみなすか結果とみなすか,その評価や解釈をめぐつて論議が多い。さらに,progesteroneその他のpro—gestinsによる生児の獲得率(fetal sulvage rate)について2盲検法その他の判定法によつても,その効果に対してなお定説がみられぬ状況である。すなわち流早産は,その原因が複雑しているため,これをprospectiveに究明して,その目的に適つた対策をたて,治療を行なうことは容易でない。したがつてそれの有効性についての評価は慎重を要する。
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