臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅹ.内分泌機能検査
166.女性ホルモン
高木 繁夫
1
,
尾崎 晴彦
1
Shigeo Takagi
1
,
Haruhiko Ozaki
1
1日本大学医学部・産科婦人科
pp.2504-2505
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219487
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異常値を示す疾患
卵巣より分泌されるホルモンを女性ホルモンと称し,estrogenおよびprogesteroneがそれを代表しており,それは性周期に伴って周期的に変動している.卵巣顆粒膜細胞および莢膜細胞より分泌されるestrogen,とくにestradiolは,図に示すごとくFSH刺激による卵胞の発育に伴ってその分泌は増加し,排卵の7〜8日前より加速度的に増加して,視床下部のcyclic centerへpositive feedbackとして働きLH surgeをひき起こし,排卵に導く.排卵後のそれは一次的に低下するが,卵胞のルテイン化に伴い,排卵後1〜2日から再び上昇し,排卵8〜9日後に黄体栄養血管の発育は最高に達し,estradiol値も再びピークに達する.
一方,卵胞期におけるprogesteroneのそれは,わずかではあるが顆粒膜細胞および副腎より分泌されている.LH surgeの2日前頃よりprogesteroneはわずかに上昇し始め,黄体期にはestrogenの第2の上昇と時を一にして上昇し,黄体期8〜9日目にピークを示し,11〜12日頃黄体栄養血管の血流量は減少し始め,estrogen,progesteroneともに急速にその分泌量は減少する.したがって,これらの性周期に伴う血中動態を観察することにより,卵巣機能を判定することができる.
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