特集 産婦人科形成手術・Ⅱ
ルフォールの手術
関場 香
1
Kaoru Sekiba
1
1岡山大学医学部産婦人科教室
pp.1211-1217
発行日 1971年12月10日
Published Date 1971/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204532
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はじめに
完全子宮脱の手術的治療法としてLe Fortは前後の腟壁粘膜を剥離し,それを前後に縫合することによつて腟を閉鎖し,子宮ならびに腟の脱出を防ぐ方法について記載した。しかし詳細な点で今日われわれがLe Fortの術式として行なつているものとは異つている。すなわち腟壁の剥離は,前腟円蓋および後腟円蓋をそれぞれ底辺とし,前壁では尿道口の下部を,後壁では会陰に近い部を頂点とする細長い三角形の腟粘膜を剥離するものであつた。現在一般に行なわれているように矩形の粘膜剥離ではなかつた。
この両者を比べた場合,前者では頸管ならびに腟分泌物の処理は簡単である。しかし剥離面が狭いため脱出を防ぐ力は弱い。また尿道および膀胱頸部を引き下げるため尿失禁を起こす可能性が強い。現在行なわれているものではこの部分の面積が横に広いため比較的その心配は少なく,術式本来の目的からいつても有利であると思われるのでその術式について述べてみたい。しかしこの術式にも幾つかの欠点があり,それを補うためGood-all & Powerは変法を考え,Käserらはさらに改良を加えている。この術式についてもGoodall &Powerの変法として述べてみたい。
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