特集 帝王切開術
帝王切開の統計
中嶋 唯夫
1
Tadao Nakajima
1
1日本赤十字社産院
pp.827-836
発行日 1971年8月10日
Published Date 1971/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204474
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はしがき
帝王切開の統計について述べよとのことであるが,すでに多数のこの種の報告が物語り,また諸統計の総括にも明らかなごとく,帝王切開に対する適応の決定に対しての基本的な考え方が,それぞれの施設主宰者によつて著しく異なり,特に絶対的適応以外の症例の選択において著明であるが,一方絶対的適応の一つである狭骨盤あるいはCPDについてみても,児頭の大きさの診定も容易でなく,児頭の応形機能,先進部,児頭回旋,子宮腟部の状態,子宮収縮などを総合して試験分娩を行なう場合もしばしばであり,臨床診断も常に正確性を期するよう努力するが,帝切に踏み切るか否かも多少なりとも個人個人の主観が加わって決定される。
したがつて当院の帝王切開に関する統計を示しても,これは当院なりの分娩誘導法の基盤の上に現われた帝王切開の統計に過ぎないわけで,本稿では諸報告中なるべく近年の報告統計をも引用し,帝王切開を改めていくつかの角度から眺め,参考に供し,併せて著者の私見をも述べてみたい。
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