薬の臨床
婦人の自律神経失調症候群に対するRo 5-3350の臨床治験
山田 光興
1
,
中野 栄喜
1
,
川田 肇
1
,
五十嵐 辰博
1
Mitsuoki Yamada
1
1金沢大学医学部産科婦人科学教室
pp.575-580
発行日 1971年6月10日
Published Date 1971/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204431
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産婦人科領域における自律神経失調症候群には更年期障害や卵巣欠落症など内分泌失調に一次的原因があると考えられるものや心理的要因に基づき発生するものなどが含まれ,その成因は複雑かつ不明な点も多く,従つてその治療法にも一定したものがなく個々の治療効果にも一長一短がある現状である。
本疾患の治療は大別して薬物療法と精神療法とに分けられ,前者はさらにホルモン療法と向精神薬療法が主流をなしている。精神療法は患者の精神状態の分析など特殊技能を要し,わが領域では一部で行なわれているに過ぎず一般的とは言えない。内分泌失調があると思われる患者に対ししばしばホルモン療法が行なわれるが,赤須1)がすでに警告しているように本療法の乱用は癌誘発,男性化徴候の出現および消褪出血として認められる内分泌環境変調の増強などをきたす懸念があり,他方西田2)は更年期障害患者の中に更年期前より継続している自律神経症(Vegetose)などの混在する場合があり,これらの患者に対するホルモン療法の不適なることを指摘している。
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