カラーグラフ
卵巣腫瘍の組織診断—I.müllerian管上皮起源の卵巣癌(原発性,続発性)および転移性卵巣癌(主にKrukenberg腫瘍)
竹内 正七
1
,
泉 陸一
1
1東京大学医学部産科帰人科学教室
pp.6-7
発行日 1971年1月10日
Published Date 1971/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204332
- 有料閲覧
- 文献概要
卵巣癌には組織発生の面から大きくわけて,1.卵巣表層上皮起源のもの,2.性細胞(germ cell)起源のもの,3.転移性のもの,などがある。2は次回にゆずり,ここでは1と3とを取扱う。
I.卵巣表層(müllerian)上皮起源の卵巣癌
卵巣表層上皮(surface epithelium)はMüller管上皮とともに胎生期腹膜上皮(coelomic epithelium)に由来するので,müllerian上皮ともいわれる。漿液性嚢腫は卵管上皮に,子宮内膜嚢腫は子宮内膜に,粘液性嚢腫は頸管内膜にそれぞれ類似が求められる。これらは良性踵瘍であるが,これに続発した癌と考えられるものがある。すなわち,続発癌(secondavy carcinoma)には漿液性腺癌(図1),子宮内膜様癌(図2),および粘液性腺癌(図3)などがある。続発癌にはこの他に性細胞由来の皮様嚢腫に続発する癌もあるが,扁平上皮癌が多い。これは次回にふれる。このmüllerian上皮およびその間質(mesoblast)が悪性化したと考えられるものに,悪性混合内胚腫(malignant mixed müllerian tumor)(図4,5)がある。これらの癌のいずれにも分類しえない癌は暫定約に原発癌(primary carcinoma)として分類されている。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.