特集 症候からみた新生児異常の診断
新生児の会陰部外陰部が示す徴候
島田 信宏
1
Nobuhiro Shimada
1
1国際聖母病院産科新生児室
pp.827-834
発行日 1970年9月10日
Published Date 1970/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204279
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Ⅰ.新生児の会陰部,外陰部の視診
新生児の会陰部,外陰部は最も多種多ような徴候を示す場所であることは私達はよく理解している。それなのに,何と多くの疾患が見逃がされているのだろう。生後何週間もの間鎖肛が分らないでいていいのだろうか。尿道下裂がようやく生後1ヵ月目の健康診断で発見されるということが,この文明の世の中であつていいのだろうか。私達,新生児管理者の眼の焦点をもう一度,新生児の会陰部,外陰部にあてて考えなおしてみる必要があると私は考える。
新生児の会陰部外陰部は,出生時にはもちろん視診,観察を行なうが,分娩時のあわただしいなかで行なうことであるから,これ一回にて終了ではなしに,更に新生児室に入室の際,あるいは生後1〜2日してから一度は念入りに視診,観察を行なう必要がある。私達の国際聖母病院新生児室でも,新生児の入室時に行なう診察のチェック・リスト(図1)の第8番目の項目に,会陰部というのがあり,外陰部を含めて広い意味の会陰部としてその異常の発見につとめている。チェックする項目のひとつに立派になるくらいに,多くの疾患が含まれているということである。
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