研究
不妊症のホルモン療法
的埜 中
1
Ataru Matono
1
1大阪回生病院産婦人科
pp.247-252
発行日 1970年3月10日
Published Date 1970/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204183
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
最近,機能障害による不妊症のホルモン療法は,新しい排卵剤ならびに排卵誘発法の進歩発達とともに,一段とその成果も良好となりつつある現状であるが,なお幾多の治療困難な例に遭遇する。従来,機能性障害によると思われる不妊婦人,すなわち卵管に異常を認めず,子宮発育不全ならびに不妊の原因が機能的と思われるものについて,基礎体温(BBT)測定,頸管粘液,腔内容塗沫検査(Smear test)ならびに子宮内膜組織検査,その他内分泌学的検査,基礎代謝測定ソーンtestなどを行なう。
基礎体温と頸管粘液結晶とTes Tape糖glucose反応の排卵期判定についての相互関係を見れば,従来,排卵期の判定にはBBT測定および頸管粘液量,粘液結晶ならびに索糸性検査が主として行なわれ,成熟婦人の頸管粘液の物理的ならびに化学的性状などが周期性変化を示すことは,彼のPo-merenkeらによつて究明されているが,特にPa-panicolaouの粘液結晶形成現象は,検査方法が簡便である。また粘液量および牽糸性,そのほか潜血反応などにより,排卵期も特有な変化が起こることが知られている。すなわち排卵期に粘液量の増加,粘稠度の低下すること,その結果,牽糸性が増して,精子の通過性を可能ならしめる。これについてCohnおよびSteinらの測定した結果は牽糸性10〜20cmが最高のときで24時間以内に排卵を予測しうるといつており,われわれの例についても10cm以上に達するものがあり,また量的にもCM0.25ml以上において,多くは妊娠成功例が見られる。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.