特集 分娩時出血--メカニズムとその対策
妊娠時の血液性状—特に血液凝固学的立場から
渡辺 栄三
1
,
立川 卓男
2
,
安永 幸二郎
2
Eizo Watanabe
1
,
Takuo Tachikawa
2
,
Kojiro Yasunaga
2
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
2京都大学医学部内科第I講座
pp.749-758
発行日 1969年9月10日
Published Date 1969/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204089
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はじめに
正常分娩時に胎盤剥離面からの出血が,たかだか200〜400mlにすぎないということには,なるほど子宮の収縮機転が大いに関与しているとしても,その根底に精妙なる血液凝固機序のきわめて重要な役割が秘められていることを見逃すわけにはいかない。
すでに1956年,Alexander et al.1)は,妊婦の血液凝固因子の増量,すなわち妊婦がhypercoagulabilityの状態にあると述べている。
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