薬の臨床
界面活性剤E−136錠剤の避妊効果ならびに副作用に関する研究
大谷 善彦
1,2
,
川越 忠篤
2
Yoshihlko Otani
1,2
,
Tadaatsu Kawagoe
2
1熊本大学医学部産婦人科教室
2九州厚生年金病院産婦人科
pp.719-723
発行日 1968年8月10日
Published Date 1968/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203927
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近年,わが国の出生率が著しく低下したことは世界の注目の的となつているが,これは主に人工妊娠中絶という,種々の問題を含んだ方法によつてもたらされたといつても過言ではなく,いわゆる避妊法の普及が切望されるところである。しかるに,産婦人科医のこの方面に対する関心は比較的薄く,最近,経口避妊薬や子宮内避妊器具には,かなりの関心が払われているものの,これ等の方法にも一長一短があり,われわれは従来から最も一般に使用されている腟内挿入避妊薬にも,もつと関心をもつべきであろう。
わが国で市販されている腟内避妊薬には,酢酸フェニール水銀と硫酸オキシヒノリンの2者があるが,有機水銀は水俣病の原因として取上げられ,農薬中毒の点からも問題視されている。しかして,上記の避妊薬が市販されて長年月経た今日まで,これによる中毒症例の報告はないようであるが,かかる危険性の存否は別として,このような不安感をいだくむきがないとは断言できまい。したがつてかかる危惧のない,安全・確実な避妊薬が望ましい。
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