薬の臨床
開腹術後疼痛軽減に対する非ステロイド性抗炎剤および抗ブラディキニン剤の臨床応用
森 新太郎
1
Shintaro Mori
1
1住友病院産婦人科
pp.769-771
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203772
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
開腹術後の疼痛除去に対しては従来モルフィン系麻薬剤が常套手段として使用されていたが,最近非麻薬性の強力鎮痛剤が発現するにおよび開腹術後の苦痛除去法の研究が進められてきた。しかしこれらの薬剤はいずれも対大脳中枢性のものであり,開腹術後の劇痛鎮圧にはやはり頻回あるいは大量を使用しなければならぬので,この面の障害が生ずることは当然である。
そこで私は従来より少し考え方を変えて,発生するであろう開腹術後の疼痛を何らかの前処置で程度を弱めておくことにより,結果的にみて術後の鎮痛剤の頻回あるいは多量使用を防止するという方法に着想し,まず術前に消炎酵素剤を投与することにより,有利な効果を得たことを報告した。(産と婦,第33巻,第9号,昭41,開腹術後疼痛軽減に対する消炎酵素剤の臨床研究。臨婦産,第21巻,第1号,昭42,消炎酵素剤の産婦人科臨床応用。)今回は同様目的で非ステロイド性抗炎剤および抗ブラディキニン剤を使用し,その各々に有利な効果を得たので報告する。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.