くすりの効きめ・5
非ステロイド性抗炎剤 その1
鈴木 哲哉
1
1実中研医学
pp.660-661
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202228
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非ステロイド性抗炎剤とは
このところ非ステロイド性抗炎剤(消炎剤という名称は,聞くものにあたかも炎症を消し止めるかのような強烈な印象を与えるので,ここではあえて抗炎剤とよばせてもらうことにする)の花ざかりである。
非ステロイド性抗炎剤とは構造式がステロイドでなく,しかも皮質ステロイド様の抗炎作用をもつ化合物に薬学者がつけた純学問的,化学的名称であり,ここで炎症とは結締織の慢性炎症をさすのが一般である1)。ところが,この名称が製薬会社のセールスの口から出ると,なにか副作用は非ステロイドで薬効はステロイド級の化合物のように聞こえるからふしぎなものである。学者によつては少なくとも動物実験で抗炎作用が証明されるものを,すべてこれに含めようとしている人もあるが,このような行き方はややもすれば基礎薬理学者にふりまわされることになるから,私はとらない。
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