薬の臨床
産婦人科領域における,新しい消炎鎮痛剤ベンジダミン塩酸塩の使用経験
田中 敏晴
1
,
三須 雅子
1
,
田淵 義夫
1
,
高山 忠夫
1
,
深山 真一
1
,
友影 龍郎
1
,
宮原 忍
1
,
千野 憲司
1
,
畠山 良弥
1
,
小柳 隆久
1
Toshiharu Tanaka
1
1東京警察病院産婦人科
pp.763-768
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203771
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はじめに
疼痛というものは各種臨床症状の中でも,患者にとつて最も耐えがたいものである。したがつて,場合によつてはその疾患の原因治療に先だつて,まずその症状を除いてやることも必要であろう。とくに疼痛を伴つた感染性炎症性疾患では,今日主として抗菌剤のみが用いられ,その起炎菌を攻撃し,生体の自然防衛機序の高まりを待つて,炎症を治療に導くことが行なわれている。
一方,慢性の炎症に伴つた疼痛などは,しばしば全身的炎症々状は緩解しているにもかかわらず,局所に持続的かつ不快な痛みを訴える場合が少くない。このような場合多くは起炎菌の菌力はすでに低下していることが多く,組織の変化がこのような痛みをもたらすため,抗菌剤のみの投与では効果の少ないことも日常しばしば経験されるところであり,このような場合には抗菌剤を投与すると同時に,この組織の変化をも改善させるような,いわゆる消炎剤が伴用されるのが望ましい。この目的に今日では副腎ステロイドなどを含む各種抗炎症剤が用いられているが,種々の副作用があるためその使用にあたつては多くの注意が必要である。
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