薬の臨床
S−3800C (NorethindroneおよびMestranolの合剤)の月経異常に対する治験成績
小林 拓郎
1
,
雨森 良彦
1
,
市川 尚
1
Takuro Kobayashi
1
1東京大学医学部産婦人科教室
pp.597-600
発行日 1967年7月10日
Published Date 1967/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203736
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はじめに
過去約40年間reproductive endocrinologyの著しい進歩により,女性性周期が間脳—下垂体—卵巣系という一つのsystemの中で巧妙にその自律性が維持されていることが判明してきた。またそれらの臓器相互間の連繋はGonadotropin releasing factor,(G.R.E),gonado—tropin,sex steroid (estrogen, progesterone)等によりhomeostasisが成立していることもわかつてきた。したがつて末梢的な現象である月経周期の背景には間脳をはじめとする多くの要素が関与しており,臨床的に遭遇する無月経などの病像も間脳性,下垂体性,卵巣性,また副腎性,甲状腺などその病因論には鑑別を要するいくつかの原因があげられている。
したがつて,無月経その他月経異常に対する治療の方法論にもそれぞれの病因に即した手段がとられるべきであることはいうまでもなく,しだいに適切な治療方法が開発されつつある。すなわち,1) GRF (GonadotropinReleasing Factor):近年G.R.Fの抽出分画が進歩して,その基礎的問題の解決には多くの報告があり,その臨床応用についても近い将来に実現が期待されつつある。
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