Japanese
English
研究
女子副腎性Androgenと骨代謝についての一考察—北陸一地区婦人にみられる特殊疾患に関連して
A conslderation about female adrenal androgen and the bone metabolism, with special reference to a female disease peculiar to a Hokuriku district
西田 悦郎
1
Etsuro Nishida
1
1金沢大学医学部産科婦人科学教室
pp.7-10
発行日 1966年1月10日
Published Date 1966/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203395
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北陸地方のある1村落を中心とした区域にかなり特殊な疾患が,第2次大戦末期より戦後にかけて見出されている。すなわち,富山県神通川流域の一区域の,中年以降の婦人,とくに経—・多—産婦に限つて多発し,主訴は四肢や躯幹の神経痛様疼痛であり,重症なものでは,いたいいたいと苦しみながら死に至つたため俗に「イタイイタイ病」とよばれている。
その本態は不明であるが,病理学的には骨多孔症Osteoporosisと骨軟化症Osteomalaciaの合併した病像を呈するとされ,X線学的にも同様,脊椎の彎曲・魚椎・骨盤変形・脱灰像・骨皮質菲薄化などの諸変化が認められ,血清無機燐の減少,Alkali-phosphatase値の上昇,尿中糖・蛋白出現などが認められるとされている。本症の治療には高蛋白食,高Calcium (Ca)食,Vitamin (Vit.) D投与などが有効とされ,その重症なものは現在殆ど全くみられなくなつたようであるが,このさいCaやVit. D投与が有効であつたからといつて,ただちにこれらの欠乏が本疾患の原因であると即断するわけにはいかず,一方,その土地の作物や重症患者骨中にCadmium (Cd)などの重金属が多く含まれていることその他から,何らかの重金属がその重要な原因的要素ではなかろうかともされており,その病因論は未だ確立されていない現状にある1)〜7)。
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