知っておきたい産科婦人科の疾患と知識・10
更年期に起こる自律神経失調症
松木 俊二
1
,
西田 欣広
1
,
宮川 勇生
1
1大分医科大学産科婦人科
pp.1217-1220
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905160
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1994年7月に厚生省が発表したわが国の女性の平均寿命は82.51歳で,世界一の長寿国である.したがって,この十数年前より更年期,老年期の諸問題が重要視されてきたことは当然である.
閉経は,自然閉経と卵巣摘出などの人為的閉経とに分類される.わが国の女性の平均自然閉経年齢は50.54歳(10%閉経年齢45.34歳,90%閉経年齢56.34歳)であり,更年期とは生殖期(性成熟期)から非生殖期(老年期)の間の移行期で,一般に閉経前の5〜6年間,閉経後7〜8年間を指す.この時期にはしばしば自律神経失調症状をきたし不定愁訴が多くなる.婦人科領域では,更年期に生じた自律神経失調症を更年期障害と診断しているが,多くの更年期女性に見られる症状でもあり,症状の軽い場合を更年期失調,また,症状が強く治療の対象となるものを更年期障害と区別している報告もある.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.