PROPOSAL
「アンケート・流産の取扱いについて」(17巻6〜7号所載)を評す
古賀 康八郎
1
1九州大学
pp.765-767
発行日 1963年10月10日
Published Date 1963/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202895
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①流産切迫にどういう処置をとつているか。何故か。この間に対してすべての解答者が,まず入院絶対安静,そしてゲスターゲンあるいは,ゲスターゲンとエストロゲン混合剤の静注,筋注あるいは,内服を行なつており,一部では,鎮静剤として阿片剤,トランキライザー,ズフアジラソ等が使用され,止血剤としてアドレノクローム,ビタミンC,K,Pなどが使用されているのは,流産切迫に対する従来からの常識的処置として当然のことである。出血があつて凝固時間の延長があるときに,エストリオールやグルココルチコイドを使用するものもあるが,切迫流産の原因が副腎機能異常によるものであることが,明らかであるもの以外には,一般に妊娠初期にグルココルチコイドの使用は,副作用の点で差ひかえるがよい。最近ゲスターゲンとして,一般に合成剤が使用される傾向にあるが,本症に対して合成ゲスターゲンは効果がないのみでなくintersexのおそれがあるから使用しない。19ノール以外のものでも用いない。流産は,ゲスターゲンだけの欠乏でくるものではなく,他のステロイドの欠乏も参画すると思うので,それらの前駆物質としてのプロゲステロンが最も必要であり,効果的である,との説は,理論的に当然考えられることであつて,今後の検討を要する重要な問題である。われわれは,合成ゲスターゲン殊にメチル基のついたものは肝障害を来すことがあるので,大量長期間使用をひかえている。
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