Japanese
English
綜説 Clinical Review
不妊症の臨床
Clinical aspect of sterility
福田 透
1
,
中村 靖彦
1
,
清水 仂
1
Toru Fukuda
1
1信州大学医学部産科婦人科学教室
pp.549-556
発行日 1963年7月10日
Published Date 1963/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202848
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緒言
不妊とは一般に結婚後正常の性交が行なわれているにもかかわらず,夫婦間に生児をえられない状態と定義され,原発,続発にわけられているが,いずれにしても不妊夫婦の愛児をえたいという熱望は種族保存に根ざしたはげしい本能であり,従つて人工中絶が優生保護法により合法化されて盛んに行なわれている今日といえども,一方では不妊を主訴として医療機関を訪れるものも後を断たない情況である。
一般的には不妊期間3年以上を不妊症として扱っているが,近年婦人の社会的進出による晩婚化などに関連して結婚後1〜2年でも,1日も早く妊娠を希望して産婦人科医を訪れるものが増加し社会情勢の安定とあいまつて不妊症治療を行なう機会が次第に増加する傾向がみられつつある。しかしながら不妊症の治療は大多数の産婦人科医が経験ずみであるように労多くして功少ない代表的なもののひとつであり,その治療成績も残念ながら満足すべき状態とはいいえぬ現況である。われわれも日頃より本問題に関しいささか検討を行ないつつあるが,今回は教室の成績を基本に少しく不妊症の臨床にっきのべてみたいと思う。
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