Japanese
English
原著
モノニトログァヤコールナトリウムの脱毛症に対する効果
CLINICAL EFFECT OF MONONITROGUAJACOLNATRIUM ON ALOPECIA
荒川 忠良
1
,
清水 庸久
1
Tadayoshi ARAKAWA
1
,
Yasuhisa SHIMIZU
1
1徳島大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, School of Medicine, Tokushima University
pp.725-729
発行日 1961年8月1日
Published Date 1961/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203115
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Ⅰ.はしがき
脱毛症とくに頭部脱毛症は最も身近な疾患の一つとして,古くから世界各地において色々の治療法が数多くの人々によつて考究されてきたが,未だ適確な療法は見出されていない現状にある。恐らく本症の病因が未だ明かにされぬこと,またその検索がまちまちで一定の傾向がつかみ難いことも治療を困難にさせる一因であろうと思われる。
そこで吾々は脱毛症の病因はともかくとして,脱毛症の病態を詳細に観察するため,先ず脱毛症患者の皮膚の生理機能を目標にして追究した訳である。その結果を要約すれば,既に34年度日本皮膚科学会総会に於いて図示(Dermatophyoiog-ram)したように,脱毛症患者の皮膚の特性は外来刺激に対して鈍感であるということ,換言すれば反応性に乏しく,皮膚血管系機能の異常のあることを証明することができた。すなわち脱毛症患者ではヒスタミン注射による皮温の上昇,皮膚血量の増加が抑制され,化学物質による布片試験の成績も健康範囲の下界に相当し,菌性刺激(ブドウ球菌膜ワクチン皮内反応)にも反応は至つて軽微で,光感受性はとくに晩期反応が減弱し,皮内拡散反応および皮膚酸化還元能はほぼ正常範囲にあるとはいえ,QRZは著しく遅延され,寒冷負荷皮温復元時間も高度に遅延していた。
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