Japanese
English
薬剤の臨床
エシドレックスの妊娠中毒症に対する使用経験
Experience with "Esidrex" for toxemias of pregnancy
中村 正六
1
,
鈴木 孝
1
,
松井 一郎
1
,
塩井 忠昭
1
,
青木 寿一
1
Shyoroku Nakamura
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科
pp.429-431
発行日 1961年5月10日
Published Date 1961/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202426
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Ⅰ.緒言
妊娠中毒症は妊娠中の最も警戒すべき疾患であり,その治療法も極めて多数実施されている。古くは減塩食,無塩食,安静が絶対的なものとされ,現在尚行われているが,塩気のない食餌程,味気ないものはなく,そのため充分な栄養もとることが出来ず,分娩時に疲労して,分娩時間が延長し,母子共に危険度が増すばかりでなく,その様に我慢したにも関らず,一向に好転せず,子癇を起して遂には一命をも失うこともある。われわれ産科医は,常に妊婦の血圧,尿蛋白,下腿浮腫に気をつけ,かかる危険を防止している。
最近化学的にサルファ剤系統に属する化合物で,6—クロロ−7—スルファミル−4—ジヒドロ−1,2,4—ベンゾチアジアジン−1,1—ジオキシドの構造を有し,一般名をヒドロクロロチアジッドと称する薬品がチバ製品より製品名「エシドレックスESIDREX」として発売せられ,それを妊娠中毒症に試用する機会を得て,著効を得たのでこれを報告する。
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