Japanese
English
薬剤 妊娠中毒症
晩期妊娠中毒症に対するヘルタスD錠の使用経験
Experience with Healthus-D in toxemias of late pregnancy
武田 秀
1
,
長田 昭夫
1
Minoru Takeda
1
1鳥取大学医学部産婦人科学教室
pp.735-739
発行日 1964年9月10日
Published Date 1964/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203130
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はじめに
アミノ酸の一つであるアスパラギン酸は種々の代謝機構において重要な経路に位置しており,TCAサイクル,尿素サイクル,核酸合成,アミノ基転移反応などにおいて果す役割は大きい。一方,カリウム,マグネシウムはともに細胞の機能に密接に関係している電解質イオンであるが,このアスパラギン酸のカリウム及びマグネシウム塩の合剤が各種心疾患,肝疾患ほか種々の疾患に臨床的に有効であることが最近立証され,広く応用されるに至つた1)2)3)4)。
ところで晩期妊娠中毒症は発生頻度が高くかつ母子に対して影響が大きく,さらに分娩後に後遺症を残すため母子保健の立場からみても重要な疾患であるが,現在なお本症の発生原因が不明なため定義分類も一定せず病態生理に準拠した適切なる治療法は無い。病態生理上本症において各種器官の機能失調,電解質の平衡失調,各種代謝異常を来すことは既に明らかにされている事実であるが,アスパラギン酸カリウム及びマグネシウム塩の作用機序に鑑みて,われわれは晩期妊娠中毒症患者にL—アスパラギン酸カリウム及びマグネシウム等量混合剤ヘルタスD錠(大日本製薬)を使用し若干の成績をえたので報告する。
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