Japanese
English
綜説
産婦人科における腰椎麻酔法の現況
Spinal anesthesia in obstetrics and gynecology as it stands
森 新太郎
1
Sintaro Mori
1
1住友病院
pp.155-160
発行日 1960年2月10日
Published Date 1960/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202137
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Ⅰ.緒 言
腰椎麻酔法(以下腰麻法)が全身麻酔法の進歩して来た今日に於ても臍部以下を手術の対称とするわが産婦人科に於ては依然重視せられており之等の理由に関しては既に識者より報ぜられている所である。然し本法の欠点も又同時に考えねばならぬ所であり特に循環,呼吸動態を中心とした重大なる副作用の問題がこれであり,腰麻実施にあたつても施術者の心の中に常に広く深くこれが被いかぶさつていることは否め得ない事実であろう。従来使用せられていた腰麻法も昭和28年東京外科集談会に於ける腰麻討論会以来漸く批判期に入りついで基礎的研究に基付く腰麻法の完成がなされつつあり,この考え方はわが産婦人科の腰麻法にも幾多の改変を及ぼして来た。更に術前の処置,薬液の改良,術中の処置等に対する進歩も相俟つて戦前われわれが漫然と使用して来た産婦人科腰麻法とは些か異つた様相を呈して来つつある感がある。われわれはこの辺で一応産婦人科腰麻法の現況を眺めることの必要を痛感する。ここに於て私は先ず産婦人科にて使用されている腰麻法の現況を把握せんとして腰麻法に関するアンケートを各方面に亘り依頼した。その返答を綜合することによりわが国に於ける産婦人科にて使用する腰麻法の全貌とまでは行かぬが現行趨勢の一端を伺い得たものと信じ本篇にて報告する次第である。
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