Modern Therapy 年間特集テーマ「Modern Therapy」巻頭言
産婦人科治療の現況と行く末
竹内 正七
1
1新潟大学医学部産科婦人科学
pp.15
発行日 1980年1月10日
Published Date 1980/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206169
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産婦人科領域における治療法は,関連領域のそれと深いかかわり合いをもちながら着実な進歩を示し,今や昔日のおもかげはないといってもよい。これはわが領域における基本的な病態生理学と,分類や定義についての知見が急速に進歩,改善を示し,整理されてきていることによっている。治療の要諦は,正しい病態観の把握に基づくことは論をまたない。
近代産科学の主要な目標は,周産期死亡率の減少に向けられた。わが国では昭和42年の26.3から,昭和53年には13.0にまで減少した。しかしこの数字の減少は,主に早期新生児死亡の減少によっており,胎児死亡についてはこのところ10〜20年間ほとんど変わっていない。このことは必然的に胎児情報を把握する方法の開発へと眼を向けさせた。かっては全くわれわれの手の屈かなかった胎児管理も,胎児胎盤機能検査法の進歩を初めとする多くの検査法の進歩により,十分管理可能の対象となってきた。
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