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薬剤の臨床
尿路感染症,殊に子宮頸癌術後尿路感染症に対するSulfamethylthiadiazole (ウロサイダル)の臨床的効果について
Clinical effectiveness of sulfamethylthiadiazole (Urocidal) on urinary tract infections, particularly those following radical operation for cervical cancer
堀 章一郎
1
,
牛田 達之
1
,
団上 昭夫
1
Syoichiro Hori
1
1岡山大学医学部産婦人科教室
pp.1193-1198
発行日 1959年12月10日
Published Date 1959/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202100
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Ⅰ.緒言
近年尿路感染症のみならず,一般細菌感染症に対しても,各種抗生物質の発見は,この治療成績を著しく向上させて来た。然しながら他方サルファ剤の進歩も,抗生物質に劣らない治療効果を収めて来ている。しかもサルファ剤は,そのスルフォンアミド基中の水素原子を,他の種々の原子団で置換することによって,抗菌範囲の拡大と副作用の除去が得られ,その発展性はまだまだ将来性がある。生産性,価格においても抗生物質に比べて格段に安易に提供され得る。
由来,サルファ剤の効果判定には,血中濃度の測定に重点がおかれ,最近所謂血中高濃度持続作用性サルファ剤なるものの出現をみている。然しこれのみがサルファ剤の価値を決定するものでもなく,またin vitroにおける効果が直ちにinvivoにおける治療効果を決定するものでもない。サルファ剤の特性としてしばしば逆のことがあり得る。サルファ剤の中には,生体内で徐々に有効成分に分解され,原物質の血中濃度が著しく低下するにもかかわらず,優れた治療効果を発揮するものがある。この故に,今春第15回日本医学会総会の特別講演に,Domagkは抗生物質・サルファ剤の優劣を論ずるに当って,感染動物を用いての確実な動物実験なくしては論ぜられないことを強調し,今日高濃度持続性サルファ剤の中には,徒らに蓄積作用のみを増し,毒性が強く,その治療効果においては,従来のサルファ剤にも劣るものがあることを指摘している。
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