薬の臨床
尿路感染症に対するTalampicillin Hydrochlorideの臨床効果
水谷 重康
1
,
八木 秀満
1
,
藤本 宏四
1
,
那須 健治
1
Shigeyasu Mizutani
1
1関西労災病院産婦人科
pp.143-147
発行日 1979年2月10日
Published Date 1979/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206000
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
産婦人科領域における尿路感染症は,内外性器感染症とともに頻繁に遭遇する疾患である。最近の尿路感染症に対する治療は,第1次選択薬として合成ペニシリン系薬剤,セファロスポリン系薬剤が好んで用いられ,とくに前者のうちでもアミノペンジルペニシリン(以下ABPCと略)が繁用されていたが,筋注,静注に比して経口投与では吸収が悪く,副作用の出現も多かった。しかし近年ABPCの誘導体が開発され,これらの短所が改善されつつある。1971年山之内製薬中央研究所で開発されたTalampicillin (以下TAPCと略)は消化管からの吸収が極めてよく,また同量のABPCの約2倍の血中濃度,尿中排泄が得られ,しかも副作用が少ないといわれている1)。TAPCの有効性はすでに第23回日本化学療法学会総会での諸家の報告にみられ,認められているが,今回われわれは産婦人科領域で遭遇する尿路感染症に対して臨床的検討を加えたので報告する。
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.