Japanese
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薬剤の研究
自律神経症候群に対するP.H.P.(Castan.D)の治療効果について
Clinical effects of P.H.P.(Castan.D.) on vegetative neurosis
野村 秀夫
1
Hideo Nomura
1
1国立東京第一病院
pp.582-586
発行日 1959年7月10日
Published Date 1959/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201991
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Ⅰ.緒言
婦人自律神経症殊に更年期障害は卵巣の年令的変化によつて起る生体の老化現象を基とした一連の自律神経症候群で古くからその本態がいろいろ説かれているがその発生機序に就いては現在尚必ずしも意見の一致を見ていない。而し乍ら内分泌の不均衡による自律神経中枢即ち間脳,下垂体が重視され中でも卵巣,性腺刺戟ホルモンが重要な役割を演じている事は1929年Zondekに依り報告されて以来現在も疑いない事実であり従来下垂体gonadotropinの過剰産生が本症の発生機点であると云うAlbright, Engelhart等の説に基づき下垂体gonadotropinの産生抑制としてestrogenが使用されているがestrogenの性器への作用特に子宮内膜増殖作用は強力で多くの消褪性出血を惹起しestrogen過剰期には不適であり癌素質のものに対しては子宮体癌の促進の恐れがあり又乳腺に働き乳癌前症を起し易いと云われている。かかる不快な作用がなく又は性器への作用が有るとしても極めて弱くしかも徐々に作用し更に下垂体抑制作用の強いものが本症に最も適したものであると云い得る。
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