Japanese
English
診療メモ
手術困難な骨盤内性器腫瘤に関するメモ
Memorandum:Intapelvic difficult for operative removal
清水 直太郎
1
Naotaro Shimizu
1
1佐世保共済病院
pp.375-380
発行日 1959年4月10日
Published Date 1959/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201949
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
骨盤内性器腫瘤で手術困難なのは腫瘤が大きくて骨盤腔の大半を満たし,或は周囲と広く癒着して極めて狭い手術野しか得られぬ場合で,日頃骨盤内の深在病巣の手術に慣れている婦人科医としても,開腹した時に何処から手をつけようかと一瞬戸惑うことがある。斯る手術困難例として著者が経験したものの多くは,A.広靱帯(皺襞)内,所謂偽靱帯内,癒着性卵巣嚢腫,B.広く腸管と癒着した炎症性腫瘤形成(附属器溜膿腫等),C.子宮筋腫(癒着性,頚部等)である。斯る場合の手術法は腫瘤の種類,腫瘤四囲の状況によつて異なるから一概に手術の手順を規定することは出来ないが,いずれの場合でも一般の術前処置,検査の外に特に次の如くして予め局所所見を詳しく知ることに努め,手術法の選択に資すると共に手術時操作を安全且つ容易にすることが必要である。(1)再度問診してこれ迄の経過を詳しく知ること,(2)充分に排尿すると共に膀胱との関係をみる為に金属カテーテルで導尿する,(3)必ず直腸診をして精診する,(4)妊娠でなければ子宮消息子を入れて検査する,又必要に応じて子宮卵管造影術を行う,(5)尿管の骨盤内走行状況を知る為に前方及び側方からの尿管レ撮影をすることが望ましい。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.