Japanese
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日常診療メモ・IV
腹式帝王切開術に関するメモ(1)
Memorandum concerning abdominal cesarean sections
清水 直太郎
1
Naotaro Shimizu
1
1佐世保共済病院産婦人科
pp.993-997
発行日 1958年12月10日
Published Date 1958/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201872
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腹式帝王切開術は,難産の時に母児を揃つて救う重要な一つの手段として以前から活用されたが,相当種々の制約があるため,実際に用うることは大して多くなかつた。近年は手術々式の改良もさることながら,麻酔法の進歩によつて麻酔に比較的危険な状態にある妊婦に対しても麻酔が著しく安全に行えるようになつたこと,及び抗生物質療法の活用によつて菌感染症が極度に抑制されることによつて,帝切術に対する従来の制約が著しく取り除かれた。その結果,以前ならば当然児を犠牲にして母体の安泰を計つた場合に,帝切分娩で母児共に救助出来た喜びを味つたことは珍しくない。今日では帝切術は産科医にとつては全く日常処置の一つになつた感があり,濫用を慎しむのは勿論であるが,一層の活用によつて一段とその有難味が増すであろう。
帝切術の前処置としては一般の開腹術に於けるのと特別異ったことはしていない。手術することに決定してから時間的余裕がない時には視,触,聴診で全身的著変がなければストロファンチン剤をブドウ糖液と混じて静注し,妊娠中毒症のある場合には高張ブドウ糖液及びビタカンファー静注等を追加して母児の心力を亢めておく。
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