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日常診療メモ・Ⅱ
開腹術後の癒着障碍に関するメモ
Memoranduni on adhesions following laparotomies
清水 直太郎
1
Naotaro Shimizu
1
1佐世保共済病院産婦人科
pp.846-849
発行日 1958年10月10日
Published Date 1958/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201845
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開腹術後に腹腔内の異常癒着が起ることは相当に多いと思われる。その中には他の疾患のために再開腹した際に偶々認められる迄,全く自覚症状のないものがあるが,仮面癒着性イレウスの重篤症状を来して,そのために再手術をしなければならぬものがある。また術後の癒着で卵管が再び不通になり,卵管開口術の目的が達せられなかつたり,術前よりも却つて苦痛が増して困惑することもある。一般に既往に開腹術をうけている患者の診断に当つては,術後の癒着によるものでないかを常に考慮しておかねばならぬ。術後癒着は再手術で剥離しても再び癒着することが非常に多く,不幸な場合には再三手術を反復しなければならないし,また手術を反復するにつれて癒着が高度になり易いから,癒着障碍は苦痛,病状の許す限り姑息的,対症的に加療するのが原則である。従つて開腹術時には癒着の起る可能性を少なくするように,手術操作に細心の注意を払うのは勿論,更にたとえ今日のところ確実な方法はないが,多少でも価値が認められる種々の癒着防止処置を行うべきである。それには次のようなものがある。
A.先ず癒着を抑制する薬剤としては従来多数のものが試用された。例えばパパイン,ペプシン,バリダーゼ,ビアルロニーダーゼ,トリプシン(線維素溶解による癒着防止),尿素,ヘパリン,ナイトロミン,ACTH,コーチゾン(線維素析出阻止による癒着防止)等が主として局所的に使用された。
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