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臨床研究
妊娠に於ける鉱質代謝の基礎的研究,殊に妊娠月令に沿うての血清,尿,唾液中Na及びKイオン濃度の消長に就いて—第3報 妊娠月令より見たる妊婦唾液中のNa,K濃度の消長に就いて
Basic studies on mineral metabolism during pregnancy especially on the concentrations of Na-and K-iones in serum, urine and soliva following the month of pregnancy--III. On the concentrations of Na-and K-iones in soliva following the month of pregnancy
藤巻 幹夫
1,2
1東京医科歯科大学医学部生化学教室
2東京鉄道病院産婦人科
pp.787-793
発行日 1958年10月10日
Published Date 1958/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201830
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緒論
著者は第1報1)及び第2報2)に於いて報告せる如く,常に同時に採取した妊婦血清中及び妊婦尿中のNa,K濃度を測定し,それら各値の妊娠月令に対する消長及び分散の推移に就いて推計検定を加えて観察した後,更に尿中Na,K濃度を同一人より同時に採血したる血清中のNa,K濃度と比較するため,それぞれの比をそれぞれ求めて,その比値についての妊娠月令に対する消長をも併せて検討した。その結果妊娠に際しては血清中及び尿中Na濃度は共に妊娠2ヵ月にて減少を来たし,以後その状態を継続するが,その減少の度合は率としては尿中の方が大である事を認め,叉血清中及び尿中K濃度は共に妊娠3ヵ月にて増加を来たすがそれ以後に於いては健常値と大差なき事を認め,従つて尿中Na/血清中Naは妊娠初期より明らかに減少を示すのに対し,尿中K/血清中Kは健常値と大差ない事等を知り,それらより妊娠に際しては体内殊に組織内にNaの潴溜が起り易い状態にあることを指摘し,これは恐らくDOCAの影響によるものであろう事を想定した。
一方当教室に於いて宮本他3)-4)は健常人唾液のNa,K濃度に及ぼす脳下垂体—副腎皮質の各ホルモンの影響についての研究に際して,就中DOCA注射によつては唾液中Naは著明に減少を来たし,又唾液中Kはほとんど変化なしと言える程度の減少を示すにすぎない事を報告した。
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