Japanese
English
原著
妊娠経過中に於ける血漿pH及び血清Na, Cl, Ca値並びに尿pH,17 K.S.の変動に就いて
On the fluctuations in plasma pH, serum Na, Cl, Ca levels as well as urinary pH and 17K.S. levels
岡村 穰
1
,
多養 祐吉
1
,
名方 正夫
1
,
常木 長和
1
Yutaka Okamura
1
1神戸医科大学産婦人科教室
pp.749-754
発行日 1957年11月10日
Published Date 1957/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201633
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緒言
妊娠と云う特異な生理的現象は,妊婦体内物質代謝に顕著な変化を惹起するものであり,その代謝様相はあらゆる方面に於て非妊時に比して特異な態度を示すことが知られている。
その中生体構成並びに生体の内部環境維持に対して電解質,水分,酸塩基平衡のもつ生理的意義の重要性は古くから強調せられていたのであるが,その代謝機構に関する知見は甚だ微々たるものであつた。而し最近電解質方面に於て種々なる測定法の進歩に伴い長足の進歩を遂げて来て,体内代謝の様相が明らかにされ,更にステロイドホルモンに関する研究の進歩によつて,電解質,水分等代謝に関する内分泌調節の機序が次第に明らかにされつつあり,之に関連して内分泌機構と酸塩基平衡並びに電解質代謝に関しても漸次解明されて来た。従つて吾々は内分泌機構を基調とする妊娠と血漿pH及び電解質特にNa, Cl, Caの血清中の変動について研究を加えた。然し乍ら現在迄妊娠経過中に於ける酸塩基平衡並びに電解質代謝に関しては幾多の報告を見ているが,同一患者についての長期観察例の報告は殆んど見当らない。そこで今回われわれは教室員の妻の2例について妊娠4〜5ヵ月よりその経過中に於ける動脈血漿pH及び血清Na, Cl, Ca及び尿pH,17K. S.を長期に亘つて測定を行い,些かの知見を得たので報告する。
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