症例研究
妊娠中毒症患者に見た「出産後特発性心筋不全症」の1例に就いて
久保木 元
1
,
深尾 勇
1
,
佐藤 泰三
1
,
六川 隆弘
2
1川口市民病院産婦人科
2川口市民病院内科
pp.526-529
発行日 1955年4月10日
Published Date 1955/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201182
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1.緒言
産褥に於ける特発性心筋不全症に就いては,Gouley.Sodeman等により報告せられ,我が国に於いても,馬杉教授,桜沢,佐々及び木村,村上及び馬場,等の諸氏により報告せられたが,産科学の領域に於いては未だあまり注目せられていないかの様に見受けられる。我々は最近中毒症患者に於いて,産褥経過に於いて,尿蛋白が陰性化せざるまゝに加療中,突然に,胸内苦悶,不整脈を来し,心電図的に特異な所見を示し,続いて発熱,白血球増多を来したが,幸にして加療により好転した例に遭遇した。本例を以つて直ちにGouley,Sodeman等の言う特発性心筋不全症と呼ぶべきものかどうか,些か躊躇するものでめるが,少くも発病以前に於ては心疾患の発病を予想せしめるものは存在せず,妊娠或いは中毒症に関連して起つて来た心不全と考える外はなく,かゝる意味に於て,同一疾患群に属するものと老えられるので,報告する事にした。
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