発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2001126000
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は29歳で出産後の頸部腫脹を主訴とした.軽度の眼球突出を認め,前頸部にび漫性の甲状腺腫を触知した.一般検査でCRPの弱陽性を認め,甲状腺検査では,抗甲状腺抗体陽性,甲状腺ホルモン高値を認め,T3/T4比は29.1であった.またTSH受容体抗体であるTSH-binding inhibitor immunoglobulins(TBII)とthyroid-stimulating antibodies(TSAb)は共に陽性であった.以上からパセドウ病を考えたが,発症が出産後3週以内であり,破壊性甲状腺中毒症の可能性も考えた.123I-甲状腺摂取率(RAIU)検査は低値であったが,破壊性甲状腺中毒症単独にしては比較的高値であった.なお甲状腺ホルモン値は初診時より上昇していた.以上からパセドウ病に破壊性甲状腺中毒症が合併した症例と診断した.経過中propylthiouracilによる肝機能障害認めた.また甲状腺超音波像は機能低下時,機能亢進時,131I投与後と特徴ある変化を示した
©Nankodo Co., Ltd., 2001