病理解剖
妊娠惡阻及びレントゲン宿醉に封するトラベルミンの臨床使用経験
松岡 廣次
1
,
飯藤 一彦
1
,
岩井 長太郎
1
1大阪赤十字病院産科婦人科
pp.729-732
発行日 1954年12月10日
Published Date 1954/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201134
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緒言
妊娠悪阻は妊娠中毒症の一つで分類すれば早期妊娠中毒症に属する。而たて本症はヒポクラテスの昔より問題視されてはいるが,未だその原因については多数の仮説があつて明確な解答を得ていないのである。従つてその治療法は古来多種多様の方法があつて枚挙に遑なく,藥物療法を観ても色々な報告がある。レントゲン宿酔はレントゲン線照射による全身的障害作用の一つである。而して本症に関しても空中放電のため発生するガスによるものとか,細胞の破壊産物の吸收に基くもの(Miescher)とか,或は血清中の食塩の減少(Bernhardt)と云い,又ヒスタミン中毒説(藤井)もあり,其の外に種々な仮説,推測があつて本症の原因にも全く定説を有つていない現況である。
我々は最近,日本衛材提供のトラベルミン(Tr—avelmin)を妊娠悪阻患者23名及びレントゲン宿酔患者3名に使用した経験を得たので略記し,諸賢の臨牀的価値批判の一助とせられたいと思い報告する。
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