速報
エストロンに封する諸臓器の態度
小林 隆
1
,
堀口 正晴
1
1東京大學醫學部産婦人科教室
pp.162-164
発行日 1952年4月10日
Published Date 1952/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200611
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
近來性ホルモンの研究は長足の進歩をとげ,今や單に性器のみに止まらず全身的の問題と化し,エストロゲン代謝として研究されつつある。エストロゲンは體内で如何に處理されて如何なる經過を辿るかと云う事は,Evans&Burr (1926)の卵胞ホルモン腹腔内注射と皮下注射との比較以來in vino又はin vitroに於て多数の人々が實驗しHeller (1940)(1943)の子宮,肺,脾,腎等とエストロゲンの培養及びDe Meio, Rakoff, Canta—row (1948)のin vitroに於ける窒素瓦斯による肝臓のエストロゲン破壞作用阻止,更にメチレンブルー添加に依る破壞作用の再現,或は肝臓に脱水素酵素の補酵素たるD.P.N.(Diphospho-Pyri-din-Nucleotide)及びD.P.N.の保護剤たるニコチンアミド添加に依るエストロゲン破壞作用の促進實驗等に依つて,肝臓のエストロゲン破壞作用機序は次第に闡明されつつある。
本邦に於ても小林・織田(1950)氏等はin vivoの實驗を爲し,エストロンが肝内で破壞される事を確認して居るが,余等は此をin vitroに於て實驗を試み若干の成績を得たので此處に報告する。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.