原著
妊娠線に関する臨床的観察—皮下断裂線の統計的観察
林 强爾
1
1岩国病院
pp.699-702
発行日 1954年12月10日
Published Date 1954/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201127
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緒言
妊娠線の臨床的観察を行う目的で余は経産,未産の身体各所の皮膚を観察した。すると未産婦未婚の女子には成長に伴い,皮下組織の断裂によつて生ずる皮下断裂線を認め,これと所謂妊娠線との鑑別が屡々困難を感ずる場合に遭遇した。他面妊娠線の成立機転を考究解明する上には,この皮下断裂線を観察する事も徒爾ならずと考え,未婚の女子を中心として,先ず皮下断裂線の統計的観察を試みた。これよりさき小野四郎氏は妊娠線と皮下断裂線の関係を重視して経産婦200名の身体名所の広義の皮下断裂線即ち,皮下断裂線と妊娠線とを含めたものを調査し報告している。然しこれは全部経産婦を対照としたため妊娠線と皮下断裂線を混同一括しての観察であるから産科学的に妊娠線を追求する上に於ては,いささか不合理であり,幼稚の誹りを免れないものである。この意味よりすれば妊娠線と皮下断裂線の鑑別可能な未婚,未産の皮下断裂線を是非観察しなければならないものと思う。
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