原著
性腺刺戟Hormonと血清Phosphataseとの関係に就て
渡邊 金三郞
1
,
山中 弘一
1
1名古屋大学医学部産婦人科学教室
pp.132-135
発行日 1954年3月10日
Published Date 1954/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200997
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緒言並に文献概要
先に著者の一人山中1)は妊婦の血清Phosphatase (以下P-aseと略記す)値は妊娠月数の累加に伴い上昇する事実を報告し,其の後更にその意義づけの一環として胎盤組織抽出液P-ase量を測定し,其の消長と前記成績とが相一致することを発表2)すると共に,両実験成績よりして胎盤性の性腺刺戟Hormonと血清P-aseとの関連性を主唱したが,果して此の両者の関係は性腺刺戟Ho—rmon自体が賦活物質として直接作用しているのか,本剤の投与が間接的に血清P-aseの活性度を増すものであるかに就いてば不明であるとした。依つて今回は此の関係の一端を解明すべく一実験を行い新知見を得たので茲に報告する。
飜つて文献を按ずるに性腺刺戟Hormon投与後の血清P-aseの消長に関してはHuggins & H—odgesは播種性前立腺癌の際の血清A cP-aseの上昇は女性Hormonの注射により急激に下降し,反対に男性Hormonの注射により更に上昇することを報告し,之に対し,本邦では岩下3)4)市川5)によつて追試が行われ同一成績を得たと発表されている。然るに吾が産婦人科領域に於てはFolley6)は授乳中の牛に,Mandelは可鳩に夫々Estrogenを注射し,血清Al P-aseの著明な上昇を認めたと報告しているが,その後Day7)及びNydaは同一実験を鼠で行い何等の変化を認めなかつたと反対の報告をしている。
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