原著
男女共學と初經來潮期との關係—第2報
藤田 長利
1
,
椎木 賢三
1
,
宮村 通敏
1
1長崎大学医学部産婦人科学教室
pp.127-132
発行日 1954年3月10日
Published Date 1954/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200996
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まえがき
戦後,学制改革に伴つて実施された男女共学は既に5ヵ年を過ぎているが,尚,その得失に就ては種々論ぜられている。吾々は女生徒の初経来潮期の面から,長崎市内の共学学校と,そうでない学校との生徒間に就て,その差異の有無に関し臨床婦人科産科6巻2号(昭和27年2月)に報告したが,再び調査を得たので報告する。
前回は,昭和24年,25年及び26年5月迄の初経来潮者に就て,両種学校間の初経期を比較検討し,24年25年度来潮者は,共に両者間に有意差がなく,2年度で5月迄の来潮者は,著明に共学女生徒の初経期が速くなることを推論した。更に戦後の混乱状態が一応落着いて,男女共学による差異が,26年度あたりから生じて来るのではないかとの憶測を加えた。勿論初経,来潮期に作用すると言われる社会環境その他に就ては一致した意見がないとは言え,特に長崎市民は原子爆弾による放射能の影響も一応念頭に置く必要があると思う。
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