原著
性腺刺戟ホルモンに對するアンチホルモンに就て
安藤 晴弘
1
,
早津 淸二
2
,
上野 福壽
2
,
小林 修
2
1慶應大學醫學部醫化學教室
2帝國臓器製藥株式會社研究室
pp.50-53
発行日 1951年2月10日
Published Date 1951/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200439
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緒言
動物に性腺刺戟ホルモン(Gonaclrophin,以下Gと略記す)を注射すれば,その生物學的反應としてこれに拮抗する物質即ち抗性腺刺戟ホルモン(Aatigonadotrophin,以下anti-Gと略記す)が生じ,或はその量を増し,Gの作用は一程度阻害されることはCollip一派1)(1934)により發見されたが,以來多數の研究により,家兎白鼠マウス犬,猫等の實驗動物に於てはGで所置した動物の血清を介して,卵巣,子宮の萎縮排卵の抑制,性周期の停止,流産等を來すことは一般によく知られている。人に於ても妊馬血清,Gに對してはanti-Gが生ずると云う報告が多數ある2)3)4)が家畜の前葉,Gに對しては必ずしも一致した成績は無く,或者は出來るとし5),或者は出來ぬとしている6)又妊婦尿G即ち同種のGに對しては一般にanti-Gは出來ぬと云う意見が多い。6)7)8)又Tailer及びLeathem2)(1940)は羊の前葉エキスと妊婦尿Gの混合製劑であるSynapoidinを長期に亘り使用した場合,患者の血清中にanti-Gは出來ぬと云つている。
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