原著
排卵期を巡る流血中好酸球の態度
岩下 芳彦
1
1北海道大學醫學部産婦人科教室
pp.10-12
発行日 1954年1月10日
Published Date 1954/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200964
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序言
月經周期に於て副腎機能に動揺のある事は從來より或程度知られていたが,之が詳細特に排卵現象と如何なる關係にあるかは殆んど知られていない。然るに1949年Davis, Hulit等,又1951年William,Roy等の觀察によれば,排卵期に流血中好酸球數(E)は減少すると言い,亦1951年小川教授等は月經周期を物質代謝の面より觀察し,排卵期には副腎機能の關與する事を指摘した。而して1948年Thorn等はA.C.T.Hを注射すると副腎皮質からコルチゾン樣ホルモンが分泌され,其の結果血液像に變化を來すこと,特に好酸球の減少に着目し,之を副腎機能テストに應用した。從つて,生體が特別の病變を有しない場合,一定條件下に於ける好酸球數の連續測定は,副腎皮質機能の消長を或程度窺う事が出來るものと考えられる。
そこで予は月經周期を巡るVakat—沃度酸値係數の消長を検索中,同時に好酸球數の測定を行つたところ,些か興味ある結果を得ているので此所に發表する次第である。
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