特集 産婦人科診療の進歩
産婦人科的炎症性疾患の化學療法
赤須 文男
1
1東邦大學
pp.760-770
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200936
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抗生物質療法の進歩はめざましいものがあるが而も尚我々を充分滿足させるという所までは到つていない。Virusに對する藥物の未完成である事,非常に重態な場合には無力に等しい事,耐性菌の發生を見る事がある事,梅毒反應を陰性化せしめ得たい場合が少くない事などはその例である。
膀胱炎や輕度の産褥熱を治し得る事は,今日の抗菌物質の登場以前にだつてあつた事であるが,淋疾に對する療法が簡單になり確實になつた事,手術にとりかゝる場合に我々の安心感の高まつた事,破水後に於ても又は多少の發熱を來していてさえも帝王切開術を比較的安易た氣持で行いうる樣になつた事などは,兎に角隔世の感がある。以下,乞われるまゝに,化學療法の一般事項に就て記述し,次で我領域に於ける炎症性疾患に對する應用について述べようと思う。
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