特集 産婦人科診療の進歩
新生兒假死
外川 淸彦
1
1東京警察病院産婦人科
pp.756-759
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200935
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まえがき
社會に産兒制限が叫ばれ家庭に計晝出産の普及實施を見つつある現在,分娩に當り健兒を欲求する要請は過去の如何なる時代よりも強い。眞劍味に溢れた家人に伴われ來院する産婦を目にしては醫師の立場からも安産・無事たれと祈念せずには居られない。「産むからには健全な兒を」は勿論であるが,今專門醫として母兒を胃す數々の疾患を想起する時,その危険を如何にして豫防し,又救急にどう處置すべきかと安泰には濟されぬ。新生兒假死は實にかかる危険症中,兒の娩出後第一番目に遭遇し,頻度亦高い重要疾患であつて,股間に發啼なきを産婦に知られる場合が多いから之を考究し,豫防し又發現に對しては救急に處置する事こそ産科醫の本務であろう。幸,處置適切で兒の蘇生に成功しても將來に於て,兒の智能に果して異常なきやを保證し難い事もあるから,益々以て難症と言うべく由來教科書の記載が,妊・娩・褥と進んて新生兒編に至るや,本症を冒頭に述べる所以てもある。
以下私はこの一大臨牀テーマに對して非才乍ら略述し,過去の治驗より氣付いた5,6の事項に就て私見を誌し,諸賢の御教示を仰ぐ事としたい。系統的記載は教科書や同題の諸家の論文(八木,安井,澤崎等)に譲る事とし先ず一般論として
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