第3回綜合醫學賞入選論文
産婦人科學領域に於ける精神身體醫學的研究
奥平 高雄
1
1荒尾市立病院産婦人科
pp.559-567
発行日 1953年9月10日
Published Date 1953/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200898
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I.緒言
19〜20世系にかけてやゝもすれば無視され勝ちであつた精神的機能的なものを,もう少し醫學に取り入れようとする所から所謂精神身體醫學(Ps-ychosomomatic Medicine)が發達して來て,今次大戰を契期として神經症の問題に直面し,學問としての一つの體系を形作るようになつて來た。アメリカでは既に1943年American Society forReaseaches in Psycosomatic Problemsが創立され,精神問題に直面して跪いた現代醫學に新しい展開をなしつゝあるという。
精神身體醫學と云う新しい言葉の組合せやその定義には異論はあるが,その主旨は決して新規なものでもなく,又特殊なものでもない。唯新しい方法と概念によつて古くからの觀察に再び息吹を與えたものに過ぎない。即ち,人間の情緒は重要な意義を持ち,これに依つて實際に肉體的病變を惹き起しうると云う事實の科學的認識から出發し身體と精神との關連を疾病と云う場に於て究明し病人を全人間的,動的に把握することに重點を置き,精神醫學,精神分析學,心理學等の方法や事實や法則を醫學上の問題に適用せんとするものである。
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