特集 産婦人科診療の進歩
早産兒の哺育法
松本 淸一
1
1愛育研究所母性保健部
pp.741-750
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200933
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I.緒言
近年我國の全乳兒死亡の中で占める早産並に先天性弱質兒死亡の割合は年々増加し,1925年24%であつたものが,1940年には32.6%,1949年30.1%,1950年32.8%,1951年34.3%となつている。又生後1ヵ月以内に死亡したものでは,たとえ他の原因,例えば肺炎或は榮養失調症等を死因としているものでも,多くは早産兒或は先天性弱質兒であり,瀬木1)は死亡統計で末熟兒以外の病因で死亡した乳兒死亡中末熟兒と附記されたものが,29〜32%に上つていることを報告している。此のようなわけで最近母子衞生の面からも早産並に先天性弱質兒の問題は,一重要課題として採り上げられている。此の對策としては2つのことが考えられる。第1は妊婦の保健指導を徹底させて,此のような兒が生れないようにすることで,そのためにはその原因を未然に防ぎ,もし原因となるような異常が起ればそれを早期に治療する。殊に晩期妊娠中毒症,多胎妊娠,羊水過多症,前置胎盤,梅毒,結核等に對する適切な豫防並に處置が行われると共に,妊婦の榮養及び過勞に對する充分な考慮が拂われなければならない。第2は早産兒或は先天性弱質免か生まれた場合に充分な手段を盡して之を健全な兒に發育させることである。
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