産婦人科の動き
子宮脱の手術療法
岩井 正二
1
1信州大學醫學部産科婦人科學教室
pp.427-435
発行日 1952年9月10日
Published Date 1952/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200681
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子宮脱の手術療法は子宮癌の根治手術と共に吾領域に於ける手術の双壁をなすものである。然るに後者が先覺者の絶えざる努力によつて現在略一定の完成された様式(岡林式或は荻野式腹式系統的廣汎剔除術)に從つて行われるに反し,前者には確たる標準が無く未だ各人の嗜好に任されている感がある。之は子宮脱本來の複雑性より止むを得ないとも考えられるが,之を統一系統化し,子宮脱手術療法に1つの標準を與えることの必要を痛感するのは,あながち著者1人のみではあるまい。昨年産科と婦人科誌上に於ける笠森教授,日赤三谷氏等の發表及び本年1月東京地方部會に於ける岩田博士の發表及びそれに對する討論,同じく本年4月大阪學會に於ける八木教授の發表等を見ても明かである。著者は昨年7月Crossen&Crossen著Operative Gynacologyを讀んでメモをしておいたがその内容は余の年來の考えと一致し,又參考になる點も多いと考えられるので之を譯出發表することとした。少しく冗漫に失し,譯文又生硬であるが,之が本邦に於ける子宮脱手術の系統化の一助にもなれば幸いと思う。
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