原著
初乳の臨床的及び細胞學的觀察
安武 豊志男
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.240-248
発行日 1952年6月10日
Published Date 1952/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200627
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緒言
Henle(1839)によつて命名されたColostrumkörperchenは本邦では一般に初乳球と呼稱されているが,その原語から譯すれば初乳小體とすべきであつて,Milchkügelchen即ち乳小球と自ら異つており,その本體が分らぬ儘にColostrumzell-en(初乳細胞)という綜合的な名が使用された事もあつた。Coloftrumは分娩後に分泌する乳汁或は牝牛が分娩後に分泌する乳汁という意味であつて白色をした成乳に對して用いられた言葉である。初乳小體の本態に關しては始め腺上皮細胞に由來すると考えられたもので此の時代はすべて各種の染色法によつて此を形態的に類似の細胞から染色して解決しようとしたのであるが,やがて此を機能的に實驗的に其れ自體の持つ獨特の生活作用なり反應によつて追究されるに及んで白血球に由來する事を知るに至つた。而し如何なる種類の白血球に屬するかについては今日尚各學者による分類も區々で決定的な解決がついていなかつた。
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