産婦人科の動き
婦人科領域に於ける神経手術に就いて
各務 勤
pp.170-175
発行日 1952年4月10日
Published Date 1952/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200613
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婦人科領域に於ける機能的障碍を伴う一群の疾患に就いては,可成以前より自律神經系が重要なる役割を演じているのではないかと一般に考えられていた。即ち,月經困難症腟痙に伴う外陰部知覺過敏症及び筋肉の異常收縮或る種の而も輕微なる子宮附屬器疾患に伴う放射性疼痛性器知覺障碍(外陰掻痒症等)骨盤部神經痛(Névr-algie pelvienne)尾骨痛等の疾患に於ては,性器支配自律神經の知覺過敏或は過刺戟性に其の原因を求めることにょりて其の複雑なる病状を科學的に説明することが出來る。而も,此等疾患に伴う神經性疼痛は更年期或は去勢後にも存續する。斯くて性器支配自律神經に手術的操作を加える事によりて此等の疾患を治療せんとする試みがなされる様になつた。
1898年Jaboulayは或る種の骨盤部神經痛は性器の病理的變化に因らずして性器支配神經の機能的障碍に因るものとの假説の下に,薦部交感神經を麻痺させて治療せんと試みた。即ち,彼は肛門の向上部10糎の所で横に切開し,尾骨兩側より骨盤腔ないに入り直腸を薦椎前面より剥離し,薦髄交感神經節・交感神經索條と坐骨神經よりの分枝とを露出せしめ,薦髄交感神經索條を約3糎の長さで或は右側或は左側を切除した。術後48時間尿閉を起すが神經痛様疼痛は消失した。
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